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今の気持ちを吐き出したい人へ カウンセリングができること

eachdayweb

更新日:2024年10月14日




どんな時に、カウンセリングに行けばいいのか。行ってみたいけど、わからないことが多すぎる・・・そんなことを思われている方は多いのかもしれません。もしくは、行ったところで何になるのかと思われている方もいるでしょう。でもまずは、今の気持ちを吐き出したいのがカウンセリングを受けるタイミングだと思います。

そもそも、臨床心理士の役割が何であり、どんなときにカウンセリングに行けばいいのかをお話します。(臨床心理士と公認心理師という資格、両方取得していますが、長く私は臨床心理士として働いてきましたので、臨床心理士という言葉をここでは使わせていただきます。)

 

医師と臨床心理士は、「みているところ」が違います。


気持ちが沈み、毎日がしんどい。これくらいで病院に行くべきなのか・・・?それもわからないし、病気と言われてしまうのもしんどい。でも、何も行動を起こさなければしんどい毎日は変わらない。悩みますよね・・・。医師に相談するのがいいのか、臨床心理士に相談するのがいいのか、それぞれの仕事の役割を整理したいと思います。

医師は、病気を診る仕事です。問診をし、診断をし、必要な治療を行います。問診にかける時間は医師によると思いますが最低でも初診では30分とられることが多いと思います。診断をするために必要な会話もあり、客観的な検査もあり、事実をできるだけ取り扱うことを優先されると思います。そうしなければ、診断がつけられないからです。もしくは、見立てがつけられません。ある程度の見立てがあり、治療方針を決めると思います。治療過程の中で、経過を観察する時期があると思います。そのとき(2度目以降の診察時)は、事実の確認に対して診察時間が短くなることはよくあることです。よく「診察が3分ほどで終わってしまい悲しい」という患者さんからの話を聴きます。しかし、医師は冷たいわけでもそっけなくしているわけでもなく、おそらく事実を診るには十分足りる時間だったということではないかなと思います。つまり医師は、病気を診て治療する専門家です。

一方、臨床心理士は、その人を見る仕事です。あくまでも、目の前に座っている人が相談者であるというスタンスで関わります。その人に寄り添い、その人の持つ価値観を尊重しながら、その人がもともと持っている力を思い出してもらえるように、話を聴かせていただきます。そして、臨床心理学にもとづく知識や技術をもちいて、こころの問題に一緒に寄り添う、こころの専門家です。

もちろん、医師の中にもカウンセリングの治療を取り入れた診察を行う先生もいますので、病気を診る中でその人に寄り添い、話を丁寧に聴く治療を行う場合もあるでしょう。ただ、診察時間を考えるとその方法を取り入れることができる先生はあまり多くはないかと思います。話を聴いてほしいという想いが強くある方は、カウンセリングが必要であり、臨床心理士がその役割を担っています。

 

「気持ちが落ち込んで眠れない」と「自分の気持ちを吐き出したい」では相談先が違います。


「気持ちが落ち込んで眠れない」人は、病院に。「自分の気持ちを吐き出したい」人は、カウンセリングに。

しんどい毎日に対して、何がどうしんどいのかを整理してみることは大事です。例えば、病気かもしれないサインを知っておくことは、メンタルヘルスリテラシーの中でも知っておいてほしい点です。以下のような気になる症状が2週間以上続き、生活に支障をきたしている場合は専門機関に相談する目安にしましょう(厚労省/こころの情報サイト引用)。

・気分が沈む、憂うつ

・何をするのにも元気が出ない

・イライラする、怒りっぽい

・理由もないのに、不安な気持ちになる

・気持ちが落ち着かない

・胸がどきどきする、息苦しい

・何度も確かめないと気がすまない

・周りに誰もいないのに、人の声が聞こえてくる

・誰かが自分の悪口を言っている

・何も食べたくない、食事がおいしくない

・なかなか寝つけない、熟睡できない

・夜中に何度も目が覚める


2週間はあくまでも目安ですので、生活に支障をきたしている場合であれば2週間も待たずに受診を考えて下さい。ただ反対に、こんな症状はよくあるでしょうと、驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、あまりそれらの症状を軽くみず、放置せずに自分に優しくしてあげてほしいです。

このようなサインを知っていることは、日々のセルフケアにも役立ちます。例えば、「なんだか最近、イライラしているかも?」と気づければ、自分のための時間を作ろうと思えるからです。少し立ち止まり、リフレッシュできれば上手に予防できたとなります。しかし、いつものリフレッシュに効果がない場合はいつもとしんどさの度合が違うとわかります。この状態が続けば、受診への目安になりますので、しんどいときの手だてがわかりますね。気に留めておきましょう。

 

●「話をしっかり聴いてもらいたい」それはカウンセリングを始めるタイミングです。


治療の中でしっかりと話を聴いてもらう必要があると判断されれば、病院などでは医師からカウンセリングの指示が出されることがあります。服薬治療と並行して、カウンセリングも導入しましょうとなるケースです。どんな方がカウンセリングを導入することになるのかは、例えば、問題の整理に困っているときや感情の整理に時間をかけた方がいい場合などが考えられます(その他の状況により医師の判断で依頼されることももちろんあります)。

もちろん、患者さん本人が前向きな治療のためにカウンセリングを希望される場合もあると思います。治療ではなく、カウンセリングだけを希望される場合もあります。そういう方は、もちろん「話を聴いてほしい」、「気持ちを吐き出したい」、「問題を整理したい」、「他の人の考えも聴きたい」などを思われる方もいれば、「今の自分は病院に行った方がいいレベルなのか?」を知りたいという方もいます。どちらにしても困りごとの内容に応じて、身体症状がでていないかはカウンセリングの初回でも確認させていただきます。状態によっては心理士から受診を勧めさせていただくこともあります。身体症状のチェックには当てはまらないけど、気持ちが落ち着かない場合は少し立ち止まるときかもしれません。カウンセリングをまずは利用されるのもよいでしょう。

 

話がまとまっていないときほど、人に話すことで整理されます。


自分の状況の整理をした上で、カウンセリングが今はいいのかもしれないとわかった。しかし、何をどう話せばいいのか上手に話せないといけないのではないか?と、心配されている方もいると思います。しかし、悩んでいるときほどまとまりのない話をしてしまいます。そして、ゴールが見えない話をしてしまいます。状況的にきっとまとまらないからしんどいので、そのまま話をしてください。「しんどい」と一言、伝えてもらえたら・・・その後は、質問する側(臨床心理士)の聴くスキルです。何がどうしんどいのか、今の状態はどんな状態なのかを整理していきます。話をする中で、質問されたり、それに答えるために振り返ったり、思い出したり、考えてみたりする時間が自分の中での大事な「気づき」につながります。気づきとは、自分の気持ちや、自分自身が本来もっている力や、忘れていた自分のいいところだったりします。この対話の中で、しんどさを生んでいたものを整理し、今の自分ができそうなことを見つけていくことになります。(状況により、その気づきには時間がかかることがあります)

 

どこにいっても解決しないように感じる悩みはあります。


問題の整理だけで得られる気づきもあれば、問題の整理だけはなく、ついやってしまういつもの行動や、自分自身の考え方の癖によりなかなか解決しにくいという場合もあります。そして、医療との連携が必要な場合も、時間の経過が必要な場合もあります。カウンセリングに来たからすぐに楽になるということには難しさがあります。カウンセリングに通われている方で、最初は家族に言われてしかたがなく来られていた方も、問題が明確になり、どうなりたいかが定まってくると、そのうちご自身で予約をとって来られるようになります。そうなると、カウンセリングで何を話そうかメモをしてこられ、得た気づきをメモにまた書き込み、次の予約日まで日常を過ごすという使い方をされる方がいます。このような方は、カウンセリングを日常に取り入れ、自分のものとされているなと感じます。自分事として、その問題を受け取れるかは大きいのかもしれません。ただ、問題の大きさや自分自身の今のエネルギー量によっては、向き合うことが難しいとなることは自然にあります。そのときは、エネルギーをためる作業からまずは行っていきます。私がよく伝える「一歩一歩」ですね。

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